2010年08月06日

秋田の高学力のヒミツ

 文部科学省が公表した小6と中3を対象とした、全国学力テストの結果によると、秋田県が2年連続トップになるなど、昨年の上位県が今年も好成績を維持し、地域差が固定化されてきた。ちなみに秋田・福井・富山がトップ3にランクされている。


 普通に考えると、経済力もあり通塾率も高い東京の方が上位に入ると思われるのだが、秋田県の高学力のヒミツは一体どこにあるのだろうか。1位の秋田県と最下位の沖縄県を比べると次のような違いが見られた。
  ◎朝食 毎日食べる   91.2%秋田     85.8%  沖縄
  ◎決まった時間に寝る  53.8%秋田     32.9%  沖縄
  ◎毎日同じ時間に起きる 64.5%秋田    56.2%  沖縄
 

 これを見る限り、学力向上のキーワードは「早寝・早起き・朝ごはん」ということになる。家庭は社会環境を子どもにとってふさわしいものに整える機能を果たしており、リズム正しい安定した生活習慣が学力によい影響を与えている。
しかし、秋田は沖縄に比べて日照時間が短いことを考えれば、この数字だけですべてを語るわけにはいかない。
  

 だが、ハッキリと言えることは、家庭内での心の安定が、子供の成績につながっていることである。
例えば、秋田県は日本で離婚率が最も低い。学校と地域との連帯がしっかりできており、地域の人なら誰でも学校に行き、授業を参観できる日もあり、お年寄りと学校の交流も盛んだ。


 秋田には「若杉っ子学びの十か条」がある。
     一.早寝寝早起き朝ごはんに家庭学習
     二.学校の話題ではずむ一家団らん
     三.読書で拓く心と世界
     四.話して書いて伝え合う国語
     五.難問・難題にも挑戦する算数・数学
     六.新発見の連続、広がる総合
     七.きまり・ルールは守って当たり前
     八.いつも気をつけている言葉使い
     九.説明は筋道立てて伝わるように
     十.学んだことは生活で学校ですぐ活用

 家庭生活も安定しており、のびのび頑張れる環境があるからこそ、学習習慣も根づく。また、昔の地域のあり方と共通するものがあり、一つの価値観のもと、伝統的なものが多く残っている。
 

 それだけではない。秋田では全国に先がけて2001年から少人数学習を導入しており、これまで40億円もの予算を投入している。
 教育委員会と学校はインターネットでつながれており、生徒が苦手としている算数・数学は授業が一区切り終わるごとに「評価問題」というテストを配信している。生徒が解いた「評価問題」の結果を県教委に配信すると、問題別に秋田県と自分の学校の平均点がわかるため、どこが弱点かが発見できる。だからできる子とできない子の差がそれほど大きくなく、特にできない子供が少ない。


 通過率の低かった問題に関しては、もう一度元に戻って学習しなおす。こうした教育行政システムで理解度の浅い生徒を発見し、改善させるリサイクルが確立されている。

 生徒は誰も「家庭学習ノート」を持っており、これは何をしてもいいノートで、自分でテーマを決め、自分の興味関心のあることを生徒自らがするため、自主性の高い県民性が培われたという。

 
 しかし、一方で問題点もある。全国学力テストの結果、平均値では全国を上回っているが、「全問正解または一問不正解」という高正答率者の割合が低い。
 また、「秋田の子どもは中学で伸び悩み、大学受験で低迷している」と言われる。昨年の大学入試センター試験の7科目平均点は全国34位で、大学進学率は約43%で全国37位。また,東大合格者の数も東北の中で一番低く一ケタとなっている。


 これは「中位偏重」にあるという。つまり学習内容が比較的簡単な小学生の間は理解の速い子、遅い子もそれぞれに伸ばせるが、内容が難しくなる中学ではそれが困難となり、教師としてはできる子は後回しになる。しかし、義務教育はうまく機能しているのだから、できる子をうまく伸ばすのは義務教育の責任ではないという声もある。
 

いずれにしても現代の教育の難しさを体現しているのが秋田県である。しかし、いち早く少人数制を取り入れるなど秋田の教育行政の見習うべきところは大いにある。


「教育は国の礎」「子どもは国の資源」である。「米百俵の精神」で子どもを育てなければならない。

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