2020年07月21日

混沌とした時代に一条の光がさす

17歳11か月で初タイトルを獲得した藤井聡太七段は、これまで屋敷九段が保持していた18歳6か月という初タイトル獲得最年少記録をおよそ30年ぶりに更新した。


若き棋聖の誕生で新時代の幕開けを思わせる。
 
コロナ禍のもと、暗い話題ばかりが多い中で唯一の明るい話題だ。
加藤一二三九段は、「藤井聡太新棋聖にはその天賦の才を余すところなく発揮し天高く翔ける龍となり、将棋史に於いて今後だれもまだ見ぬ地平を、ときに孤独と闘いながらも勇猛果敢に切り開いていただき、いつまでも色褪せない名局を紡ぎながら、将棋という芸術文化の大輪の花を咲かせていただきたいと願います」とその偉業を讃えた。


一方で、対戦相手の渡辺明二冠の謙虚で潔い感想にはタイトル保持者としての人格を感じられずにはいられなかった。中盤までは渡辺棋聖が押していたし、時間も1時間差があったから今日は藤井七段は負けかなと思った。それでも棋聖に勝った。

  将棋に向き合う真摯な姿勢と探究心、向上心全てにおいてスゴイとしか言いようがない。近頃まれにみる若者だ。
もう藤井君とは呼べない。


「すごい人が出てきた」「まだ天井が見えない」渡辺二冠の言葉に藤井さんの空恐ろしさを感じる。
インタビューに答える柔和な表情と比べ、いざ将棋盤に向かうと、全く違う勝負師の顔が見える。このギャップがたまらなくいい。


 彼はこれまで順風満帆な人生を歩んできたわけではない。小2の全国大会決勝、大観衆の前で屈辱の敗北を味わった。その敗北を糧に彼は成長した。
「自分の強みを生かすというより、常に自分に足りないことは何なのかを知り、それをどう高めていくかを重要視しています。将棋の場合、コーチのような人はいないので、どうやったら強くなれるか、自分で考えて試行錯誤しています。将棋は勝つか負けるかなので負けが続くことも当然あります。まずは、負けが偶然なのか、自分のパフォーマンスに原因があるのか考えます。次に、対局へのモチベーションを下げず一定に保つことを考えます」

 ぜひ棋士人生の集大成を見せてもらいたいものである。

2020年07月08日

ある講師からの手紙

私はこの仕事に就いて以来、贈り物をいただくことがあるのだが、今年も一つの印象的な贈り物をいただいた。
 それは、巣立っていく講師からの長いうれしい手紙だった。


 塾長へ
 高校生の頃から今まで本当にお世話になりました。エクシードは私にとって本当に特別な場所でした。塾長に直接お伝え出来なかったので、この場をかりて報告させてください。
 一つ目は春に大阪の病院から内定をいただいた旨を伝えさせていただいたと思うのですが、実はその後ひそかに公務員試験(保健師)を加古川・尼崎・県職と受験し、すべてに合格をいただきました。春からは加古川市で専門職として働きます。


 中略
そして二つ目。大学受験は思うようにいかず、私学に行った私ですが、この度優秀学生賞なるものを頂き、首席で卒業することになりました。
塾生として皆さんの期待に応えることはできませんでしたが、第一志望を落ちてしまったことを塾長にした時、「失敗を経験している子の方が強くなれるよ」と塾長が声をかけてくださって、それがずっと私の励みになっていました。
 

 入学当初はもちらん私のプライドもあって、「なんで、この大学に…」と思ったこともありました。しかし、今の大学に行ったことにより、地元の友人とすぐに会えたり、自分の時間が多く持てたり、何よりエクシードで講師として4年間務めさせていただくことができました。今の私には何一つ後悔はありません。
このお話は今後受験に失敗して落ち込んでいる生徒がいる時に話してあげてください。
                   中略


 エクシードで働かせてもらうまで、私にはコミュニケーション能力はほとんどなく、自分の考えすら相手に伝えることが苦手なほどでした。よく話す生徒から話しかけても反応すらしない生徒まで……。どうすれば心を開いてもらえるのだろう。この子にベストな勉強法は何だろう。ひたすら試行錯誤する日々を送らせていただきました。そんな中でも塾長をはじめ皆さんが温かく迎えて下さって、「先生、会いたかった」と笑顔で飛びついてくる徒もいて、私にとってはエクシードは居心地のよい場所でした。
 

 勉強面だけではなく、人間としてどうあるべきかなど数多くのことを学ばせていただきました。エクシードで働かせていただいたことに感謝の気持ちでいっぱいです。本当はまだまだ続けたいくらいですが…。
 本当にありがとうございました。とても充実した4年間でした。

 お仕事大変なこともたくさんあるでしょうが、どうぞお体だけは大切にされて、ずっと私の大好きなエクシードを守り続けていただきたいと思っています。


本当にお世話になりました。
この手紙は、私のバッグの中に大切に潜ませている。この手紙は今や私の宝物になっている。

過去のエントリー