2015年12月19日

羽生結弦が羽生結弦を越えた

 いやー、すごかった。

 バルセルナで開催されたグランプリファイナルで羽生結弦選手が330.43点を記録して見事な優勝を飾った。これは先のNHK杯での世界最高記録を8点もうわまり、ノーミスの完璧な4分間演技だった。この完璧は他の選手との比較でなく、羽生結弦選手自身と比較した基準と言える。


 フリー演技では、陰陽師をテーマとし、狩衣をイメージした衣装で、氷上を軽やかに舞い、高く流れるようなジャンプを決め、和の境地を披露した。芸術と技術を見事に融合させた演技であり、彼には曲と技を一体化させる天性の才能があるのだと思う・


 世界最高得点を確信したような決めのポーズ。その視線は更なる高みを見すえているかのようだった。


 点数が発表された時、顔を覆って涙を流しながら、「何で僕は泣いているんだろう」と隣のコーチに聞いたという。これは想像にすぎないが、辛く厳しい練習を思い出したり、試合で練習の成果が出るんだろうかという恐怖感など乗り越えホッとした安堵の涙ではなかっただろうか。
 

 演技を終えた後、NHK杯の「やった!」からGPファイナルでは「よかった!」に変わったことが、このことを証明している。
 

 試合後のインタビューで、自分の演技を見た子どもたちへのコメントを求められ、「どうか、練習を、夢をあきらめないで」と話した。


  ここまで来るには、私たちの想像する以上の苦難があったに違いない。今回のGP3連覇は自分で自分を追い込んだ結果、まさに努力の賜物である。
 

 あの元チャンピョンのロシアのフルシエンコに「スズ、君は僕のヒーローだ」と言わしめたことを見ても、330点越えは歴史的快挙だと言える。
 この21歳。一体どこまで行ってしまうのだろう。自分の能力に限界を作らないで自身の道を突き進んでほしい。