2013年08月27日

甲子園でのルール問題を考える

 今夏の高校野球選手権大会は群馬県の前橋育英高校が初出場・初優勝を遂げて熱戦は終わった。しかし、今年の大会は、審判の判定に首をかしげるシーンが多く見られた。
  
 高校野球の審判団は、プロ野球のようにそれを生業としている方々の集まりでなく、高校野球に魅せられて審判を志願し、講習会やレフリーミーテイングを重ね、高校野球連盟から審判としての資格を与えられた人々の集まりである。甲子園には、経験豊かな方々が集められ、甲子園で審判を務めることは審判員にとってこのうえない名誉となる。職業は教員などの公務員・僧侶・JR職員などさまざま。これらの人は比較的休暇時間がとりやすいためでもある。
報酬は旅費と日当だけ。持ち出しも多く、競技が好きでないとやっておれない。そんな審判員の方々には敬意を表したい。
しかし、高校野球のルールには謎が多すぎる。その一つに監督に抗議する権利が認められていないこと。それに審判団や審判員が権威をふりかざしているように見えるのは私だけだろうか。
  
 今大会を通じて感じたことは、主審のストライクゾーンの広さである。どう見てもボールと思われる高めのボールをストライクと判定する主審がかなり多かった。コースもアウトコースボール1個分ぐらい広く選手の皆さんもかなり戸惑いがあったようだ。その証拠に今年の大会は三振奪取率がかなり高かった。
 
 花巻東の千葉翔太選手の「カット打法」についても明らかにおかしい。かって夏の甲子園大会で東洋大学姫路高校の9番バッターが、同じような打法をしたことがある。その時は、1回戦の第一打席でファールを2度打ったところ審判から注意を受けた。この打者は左手と右手の間をあけており、明らかにファールだけを打とうとした。その時の球審は「いくら特殊技術といっても、打つ意思が見られない。これは打つという打者の本分から外れているから注意した」とコメントした
 

 しかし、千葉翔太選手は構える時は、両手は離れているが、打つ時瞬間には、しっかりくっついていた。165センチの体を更に小さく屈め、ファ−ルで粘るプレースタイルは、彼が生き残るため努力して会得したものだ。


 バットに当てようとしても、なかなか当てられるものではないのに、これはすごい技術だと私は思う。
この判断の根拠は、高校野球特別規則17項。「打者が意識的にファウルするような、いわゆるカット打法は、そのときの動作により、審判員がバントと判断する場合もある」に基づくものだが、高校野球だけのルールで、プロでは問題にならない。


 千葉選手はそれまで“カット打法”で「打率7割」と大活躍し、特に準々決勝の鳴門戦では相手投手が投げた163球のうち41球を1人で稼いだ。
1・2回戦は特に注意されるわけでもなく、準決勝の前になって指摘するのはおかしい。せめて甲子園での初打席か初戦が終わった時点、もしくは岩手県での予選の段階で指摘すべきだった。
千葉選手は準々決勝戦でセカンドランナーとなって打者にサインや球種を伝えている疑いがあるとしてとして、審判からすぐに注意を受けている。この違いは何なのか。

 縁の下の力持ちである審判団。しかし、高校野球は一発勝負のトーナメント。それだけに魂と魂ぶつかりあい火花が散らされる。人間がやっているからミスはいたしかたないではなく、審判団へルールの周知徹底と体質改善をはかり、一球一球に心血注いで、選手のプレーを見ていただきたい。

2013年08月17日

西脇工業、感動の甲子園初出場!!

甲子園に行ってきました。
私はかって西脇工業高校の監督をしたこともあり、今回の全国大会出場にかっての同僚や部長とともに応援にかけつけたのです。
 

やはり甲子園はいい。高校生の一瞬たりとも手を抜かないプレーとそれを見つめる観客の温かい目。大会はトーナメントであるがゆえ、選手みんなが一投一打に真剣そのもの。それがまた感動を呼ぶ。甲子園は高校野球の聖地そのもの。


強豪ひしめく兵庫県にあって、公立高校の西脇工業が頂点を極めた。私たちにとってはまさに夢のような出来事だった。兵庫大会では3度のサヨナラ勝ちで粘り強く勝ち進み、創部51年目にして春夏通じて初の甲子園出場を果たした。甲子園は簡単に来れるものではない。ここに来るためにどれだけ多くのことを犠牲にし、とてつもない練習に耐え抜いたことだろう。選手の皆さんの努力に敬意を表したい。
 
1回戦は島根の石見智翠館高校。かっての江の川高校であり、中日の谷繁選手などを輩出した野球の名門校。初回に1点を先制され浮足立つかに見えたのだが、見事に逆転。翁田投手の好投もあって4対1で甲子園で初勝利した。それも兵庫代表の公立高校として29年ぶりの勝利だった。
バス80台でアルプス席に詰めかけた応援団は約4千人。観衆は5万人。チケットは完売で、私たちもアルプス席に入ることはできなかった。勝利の目前9回には、投手の一球一球に地鳴りのような大声援。5万人の大観衆の前でプレーできる選手は幸せだが、応援できる私たちもまたこのうえない幸せだ。
 ホームプレートに並び校歌を歌う選手たちは雄々しく、私も34年ぶりに歌った
                       「西脇工業、高校われらぞ!」

2回戦は千葉の木更津総合高校。この日も大応援団。またもや甲子園は4万7千人の観衆に包まれた。3点を先制され、2点差を追う9回、西脇工業はツーアウト満塁。一打逆転の展開に応援団の声援も最高潮に達した。しかし、無念の一塁ゴロ。西脇工業の追撃は届かず、甲子園の夏は終わった。
 敗戦が決まり、一塁側に応援の挨拶に来た選手に対し、スタンドから「よう頑張った!」「ありがとう」の温かい声が響いた。


中学校時代には際立つ戦績もなく、卒業後はほとんどの者が就職を考えている田舎の普通の工業高校生の集まり。兵庫県大会でも決して前評判は高くなかった。それでも地味ではあるが堅実なプレーを積み重ね新しい歴史を作った。
選手のみなさん。感動をありがとう。君たちは兵庫県のみならず全国の高校球児にどれだけの勇気と感動を与えたことだろう。
君たちは私たちの大きな誇りだ。

「栄冠は君に輝く」

雲は湧き 光あふれて
天高く 純白の球 今日ぞ飛ぶ
若人よ いざ
まなじりは 歓呼に答え
いさぎよし 微笑む希望
ああ 栄冠は 君に輝く