2010年08月27日

沖縄の夢かなう!興南高校、春夏連覇

「この勝利は沖縄のすべての県民の力で勝ち取った勝利です」興南高校の我如古盛次主将は優勝インタビューでそう答えた。打つたびにアルプスからの応援が響きわたり、それが大きな力になり、自信を持ってプレーできた。


我喜屋監督は「深紅の優勝旗を見て泣く人も、万歳する人も、カチャーシーを踊る人もいた。これだけ多くの人たちが待っていたんだなと実感した。この優勝旗は一人一人の栄冠です」と述べた。


我喜屋監督は68年夏、興南初のベスト4進出の時の主将だった。本土に復帰する前の当時はパスポートを手に船を乗り継いで甲子園入り、沖縄旋風を巻き起こした。しかし、準決勝で優勝校の興国に0‐14で大敗。内地との力の差を痛感して沖縄に帰った。
「ここまで来るのに42年もかかった。当時逃がした魚がようやく沖縄に戻ってきた」先人たちが何度となく挑み跳ね返された壁、その苦労に思いを巡らせながら半世紀の思いを込めて感慨深げに話された。

 
 それにしても史上6校目の春夏連覇を達成した興南高校は強かった。特に5−0とリードされた準決勝の報徳高校戦の逆転劇はまさに神がかりだった。興南高校には、逆境にあっても竹のようにはね返すしなやかさがあった。1点リードの9回ツーアウトランナー3塁。このしびれる場面で島袋投手は5球すべて140キロを越えるストレートで勝負し、打者を三振に打ち取った。


 興南野球部の部訓は「魂知和」(こんちわ)「魂をもって臨み、和をもって力となす」まさにこれを地でいったのが今夏の甲子園だった。

 
 エースの島袋投手は、夏の甲子園の決勝から逆算して、春の選抜優勝からの時間を過ごしてきた。ずっと夏の甲子園での連投を考えて練習スケジュールを組んだ。だから沖縄大会中も炎天下の中800球もの投げ込みを行い、小さな体にムチうってオーバーワークを課した。蒸し暑さ対策として雨合羽をユニフォームの下に着込むなどして周到な準備で甲子園に臨んだ。


 しかし、島袋投手は、夏の甲子園では、決して本調子ではなかったと思う。一回戦の鳴門(徳島)高校戦は、5回を投げて5安打を打たれ、四球も3つ。ストライクとボールがはっきりしていた。しかし、ランナーを出してから、粘り強い投球術がさえた。ピンチになると145キロのストレートを魂を込めて打者の膝元に投げた。


 準々決勝と準決勝では、序盤に連打を浴びて失点する場面もあったが、どちらの試合も味方打線が追いつき逆転すると、その後相手チームに1点も許さなかった。


 決勝の東海大相模戦では、本来のストレート中心の投球から、相手の裏をかいて変化球で攻めた。東海大相模の選手はそれまでの4試合で、打率3割6分を記録しており、強打のチームと言われた。しかし、これはほとんどがストレートを狙い打っての結果であり、特に左投手の変化球にはもろさをみせていた。

 
 これを見透かした捕手の山川選手は「東海大相模のチームは、まっすぐ一本待ちのような気がしました。足を上げてまっすぐのタイミングでリズムを取る感じだったので、真ん中付近でも、ストレートみたいな軌道でツーシームを低めに集めればゴロを打たせると思いました」と述べている。
島袋投手は三振を捨て、変化球を低め低めに集めゴロの山を築いた。結果、強打の東海大相模打線を1点に封じ、チームを優勝に導いた。


 春夏の連覇は相当プレッシャーになったに違いない。しかし、自分たちにしか味わえないプレッシャーだとプラスに考え、連覇を実現、新しい歴史を作った。君たちは沖縄の誇りだ。そして、高校球児の誇りでもある。甲子園で熱く燃え、たくさんの感動をいただいた興南高校の選手に惜しみない拍手を送りたい。
 今日、カラオケで「島人ぬ宝」(しまんちゅうぬたから)と甲子園で封印された「ハイサーおじさん」を歌い、泡盛で乾杯だ。

2010年08月06日

秋田の高学力のヒミツ

 文部科学省が公表した小6と中3を対象とした、全国学力テストの結果によると、秋田県が2年連続トップになるなど、昨年の上位県が今年も好成績を維持し、地域差が固定化されてきた。ちなみに秋田・福井・富山がトップ3にランクされている。


 普通に考えると、経済力もあり通塾率も高い東京の方が上位に入ると思われるのだが、秋田県の高学力のヒミツは一体どこにあるのだろうか。1位の秋田県と最下位の沖縄県を比べると次のような違いが見られた。
  ◎朝食 毎日食べる   91.2%秋田     85.8%  沖縄
  ◎決まった時間に寝る  53.8%秋田     32.9%  沖縄
  ◎毎日同じ時間に起きる 64.5%秋田    56.2%  沖縄
 

 これを見る限り、学力向上のキーワードは「早寝・早起き・朝ごはん」ということになる。家庭は社会環境を子どもにとってふさわしいものに整える機能を果たしており、リズム正しい安定した生活習慣が学力によい影響を与えている。
しかし、秋田は沖縄に比べて日照時間が短いことを考えれば、この数字だけですべてを語るわけにはいかない。
  

 だが、ハッキリと言えることは、家庭内での心の安定が、子供の成績につながっていることである。
例えば、秋田県は日本で離婚率が最も低い。学校と地域との連帯がしっかりできており、地域の人なら誰でも学校に行き、授業を参観できる日もあり、お年寄りと学校の交流も盛んだ。


 秋田には「若杉っ子学びの十か条」がある。
     一.早寝寝早起き朝ごはんに家庭学習
     二.学校の話題ではずむ一家団らん
     三.読書で拓く心と世界
     四.話して書いて伝え合う国語
     五.難問・難題にも挑戦する算数・数学
     六.新発見の連続、広がる総合
     七.きまり・ルールは守って当たり前
     八.いつも気をつけている言葉使い
     九.説明は筋道立てて伝わるように
     十.学んだことは生活で学校ですぐ活用

 家庭生活も安定しており、のびのび頑張れる環境があるからこそ、学習習慣も根づく。また、昔の地域のあり方と共通するものがあり、一つの価値観のもと、伝統的なものが多く残っている。
 

 それだけではない。秋田では全国に先がけて2001年から少人数学習を導入しており、これまで40億円もの予算を投入している。
 教育委員会と学校はインターネットでつながれており、生徒が苦手としている算数・数学は授業が一区切り終わるごとに「評価問題」というテストを配信している。生徒が解いた「評価問題」の結果を県教委に配信すると、問題別に秋田県と自分の学校の平均点がわかるため、どこが弱点かが発見できる。だからできる子とできない子の差がそれほど大きくなく、特にできない子供が少ない。


 通過率の低かった問題に関しては、もう一度元に戻って学習しなおす。こうした教育行政システムで理解度の浅い生徒を発見し、改善させるリサイクルが確立されている。

 生徒は誰も「家庭学習ノート」を持っており、これは何をしてもいいノートで、自分でテーマを決め、自分の興味関心のあることを生徒自らがするため、自主性の高い県民性が培われたという。

 
 しかし、一方で問題点もある。全国学力テストの結果、平均値では全国を上回っているが、「全問正解または一問不正解」という高正答率者の割合が低い。
 また、「秋田の子どもは中学で伸び悩み、大学受験で低迷している」と言われる。昨年の大学入試センター試験の7科目平均点は全国34位で、大学進学率は約43%で全国37位。また,東大合格者の数も東北の中で一番低く一ケタとなっている。


 これは「中位偏重」にあるという。つまり学習内容が比較的簡単な小学生の間は理解の速い子、遅い子もそれぞれに伸ばせるが、内容が難しくなる中学ではそれが困難となり、教師としてはできる子は後回しになる。しかし、義務教育はうまく機能しているのだから、できる子をうまく伸ばすのは義務教育の責任ではないという声もある。
 

いずれにしても現代の教育の難しさを体現しているのが秋田県である。しかし、いち早く少人数制を取り入れるなど秋田の教育行政の見習うべきところは大いにある。


「教育は国の礎」「子どもは国の資源」である。「米百俵の精神」で子どもを育てなければならない。