2010年02月01日

ドン底の商店街からの復活

 8年前の商店街、それはもう散々なものだった。人の足は遠のき、シャッターを下ろした空き店舗が激増したひなびた商店街で、閉鎖は時間の問題だった。ところがどうだろう。今では、年間30万人もの人が押し寄せる商店街へと見事変身した。
 

 大阪福島聖天通商店街がそれだ。近くに大型店が進出し、客を奪われ、危機感を感じた商店主が集まり、善後策を練った。何か策はないか。喧々諤々の議論の末、若い商店主から、若い人を集めるのなら、“占い”の商店街にしてみたらどうかという提案があった。しかし、商品を売る商店街が売らない(占い)とは何事か。ベテラン店主は猛反対した。でもこれといった代替案はなく、結局折れざるを得なかった。
 

 今、アーケードの入り口には「売れても占い」商店街という看板が掲げられている。「占い」を戦略商品として聖天通商店街は蘇った。週末には30人もの占い師が商店街を占拠し、それを目当てに若者が集まり、活況を呈している。
  商店街のイベントも工夫され、面白い。「あなたもなにわの商人になれる」と銘打って、修学旅行生さえも取り込もうとしている。


@あきんどの心意気講話     
     生き方の大事さ、お金の大切さなどを商店主が輪番で講話する。
Aあきんど体験
     各店でレクチャーを受け、商品の販売にあたる、「でっちどん体験」。
     若手落語家が、でっちどん体験している人を激励。
B占い‘大楽’(だいがく)体験入学
     観相学(手相・人相)のABCを学習
  
 各店舗も工夫を凝らしている。例えば、ある居酒屋では、お客さんに割り箸のくじを引いてもらい、阪神タイガーズの大阪らしく、『虎カラー』の黄色を引き当てると、生ビール1杯サービス、『真弓くじ』を引くと2杯がサービスされる。
 
 メガネ屋さんは、「おみくじ引いて幸運メガネ」引いたくじによってフレームは30%〜20%引、 レンズ50%〜40%引などとなる。また、洋服屋さんの、占いの先生のお墨付き「開運ネクタイ」は好評。2000円払うと、ご縁(5円)も付いてくる、値段は1995円と手ごろ。大阪人らしいシャレの聞いたサービスだ。
 
 この商店街の復活の秘策は、ズバリ『人間力』にある。つまり、ものを売るのでなく『人間力』を売っている。激安などの低価格では大型店にとうていかなわない。だからサービスを売りものにする。

 
 お客さんには、“楽しく買い物をしてもらう”そのためには、対面接客や客とのコミュニケーションを何より大切にしている。売り上げは後の結果、まずはお客さんに尽くす。そうすれば固定客は囲い込める。こうした熱意と工夫により、大阪福島聖天通商店街は固有の文化を作り上げた。
  

 世の中は今、100年に一度と言われる金融不況。しかし、私たちは不況のせいにしてネガテイブに生きるのでなく、時代の流れに対応したアイデアと熱意が必要だ。大阪福島聖天通商店街からそんなことを学んだ。

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