2009年04月27日

兵庫県公立高校入試で採点ミス発覚

 驚くべきニュースが入ってきた。今春の兵庫県公立高校の答案を再点検した結果、全県の84%にあたる122校で採点ミスがあったと言うのだ。
 ミスの内容は、点数の集計ミスが645件、不正解を正解としていたが559件、正解を不正解としていたが318件である。県教委は採点した教諭らの処分を検討する。 
 
  県教委は「合否に影響なし」というが、それは信じがたい。不合格者の中には10点少なく採点された者がいたという。地加印学区では、高砂高校は、定員204名に対し、263名もの受検者数があった。つまり59名もの不合格者が出るわけである。これに果たして「合否に影響なし」と言えるだろうか。はなはだ疑問である。私は高校教師として勤務していた15年間、僅差で涙をのんだ受験生を数多く見てきた。
私たちは常日頃から「1点を大事にしろ。1点で合否が決まることがある。」と塾生には口すっぱく言ってきた。それに対して、このずさんさは何だ。


 入試の採点は、受験日の翌日に行うのが常であったが、県教委は1991年県立農業高校で起こった入試答案改ざん事件後、採点作業を原則当日に完了させる方針に転化した。このため採点は、試験監督と並行してやらなければならにため、教員の負担が増したと言う。
 
 ある高校では、採点が終了したのは午前1時。このため、教職員の緊張感がもたず、それが採点ミスにつながったと言う。しかし、教職員には別途入試手当と食費代までもが支給されているのである。これは言い訳に過ぎない。

 
 入試の採点は、一つの答案につき、5人の教員があたり、まず一つの答案用紙を3人が正誤判定をする。その後、2人が点数を集計することが決められており、採点する教諭は、確認のための印鑑までも押すのである。それがどうやら守れていない。一つの答案につき、3人の教員が採点している学校も少なくない。
私の頃でも最終の5人目の採点者がそれまでの採点ミスを見つけることはあった。それが採点者が3人では、より多く間違いがでるだろうことは容易に想像できる。
 
 採点ミスも単純なミスが多い。
 石炭を石灰、大宝律令を大宝律分、HeをSheとしても正解としている。これぐらいのミスを第二・第三の採点者が見過ごすことは怠慢極まりない。私たちの頃は、本居宣長を本居宜長としているものを正とするぐらいで、そんなに大きなミスは無かったし、採点者も緊張感をもって入試の採点をしていた。また、何よりも採点ミスは自分の恥であるという自覚もあった。 

 このていたらくは何だろう。それでなくても兵庫県の公立高校入試問題は、他府県との違いを表そうとして技巧に走り、毎年受験生は苦しんでいる。今年の国語と数学の出題は、一体何を考えているんだと出題者に問いかけたい。特に国語は、わが塾の受験生でも最高点が76点(加古川東高校合格)で、ほとんどの生徒はかなり低い点数に甘んじている。


 問題の技巧に走る前にもっとすべきことはたくさんある。受験生のことを考えてもあってはならない今回の採点ミス、生徒のことをどうこう言う前に、公立高校の教職員の綱紀の粛正を望みたい。

 高校入試の信頼性が大きく揺らいだ今回の採点ミスであった


 

 

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